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Dile No3 |
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有限会社 亜麻公社
代表取締役 内藤 大輔 氏
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「亜麻」。その植物の名前は多くの人に知られているが、
それがどのような花を咲かせ、人々の生活にどのように利用されてきた植物かすぐに思い浮かぶ人は
多くないだろう。
それもそのはず、日本国内の亜麻は昭和42年を最後に栽培が中止されていたのだ。
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その亜麻を約40年ぶりに北海道に復活させたのが、亜麻公社の内藤氏だ。
広い土地と冷涼な気候を持つ北海道は亜麻栽培の最適地であるという。
ふたたび亜麻を「北海道の資源」として 復活させ、「北海道ブランド」としての商品化を実現しようというのだ。
繊維として、食品として、景観として…。亜麻の活用範囲は広く、
内藤氏は亜麻を「人々の生活に根ざした文化」として定着させたいと語る。
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【亜麻を人々の生活・文化に定着させ、道産亜麻で日本を元気に!】
--------亜麻公社の事業内容について教えてください。
>>内藤氏
亜麻という植物を40年ぶりに北海道で復活させました。
40年ぶりですから、まずは栽培技術を確立させ、亜麻を原料とした商品の企画、製造、販売に取り組んでいます。
現在のところは亜麻の種子から取れる油を利用した食品の開発と販売を主に行っています。
--------亜麻、という植物について教えてください。
>>内藤氏
亜麻はもともと日本では、明治時代に茎から繊維を採るために北海道開拓使が
ヨーロッパから導入したものです。
亜麻の原産は中央アジアなのですが、人間が利用してきた歴史はとても古く、
古代エジプトでミイラが巻かれている布は皆さんすぐに想像できると思うのですが、
あれも亜麻の繊維です。衣服の繊維としてよく利用されていたようです。
ピラミッドの壁画にも亜麻の収穫の画が描かれています。
医学の父と言われる古代ギリシャのヒポクラテスも 「亜麻を食べると胃腸の調子がよくなる」と亜麻を食べることを推奨しています。
--------亜麻はどうやって食べるものなのですか?
>>内藤氏
ヨーロッパでは古くから亜麻の種子をパンに入れて焼いて食べる、スープに散らす、
油をサラダにかける、という例を聞いたことがあります。
--------亜麻は衣服としても、食物として古くから利用されてきたということですね。
>>内藤氏
はい。ヨーロッパでは亜麻は生活の一部、文化として定着していると言えます。
しかし日本では、北海道開拓使が茎の繊維を採るために導入しただけで、種を食用に、
という着眼点は全くなかったようですね。
北海道に導入したのは、もともと軍事的に使用する目的が主でしたから、
国の強制割付として戦前は大々的に栽培されていました。
亜麻の栽培には北海道の冷涼な気候が最も適しているんです。
世界的な産地を見ても冷帯気候で広く栽培されています。
--------では、日本で亜麻が栽培されているのは北海道だけなのですか?
>>内藤氏
はい。北海道だけですし、40年ぶりに復活させたわけですから、私たちの契約農家さんだけです。
現在は、当別の大塚農場さんを中心に20件ほどの農家さんと契約を結んでいただいています。
ですから、「国産の亜麻」というのは、私たちしか持っていないということです。
--------亜麻の栽培が北海道で中止された理由というのは、やはり化学繊維の登場ですか?
>>内藤氏
そうです。
化学繊維が安く作られるようになって、昭和40年代に北海道から完全に亜麻が消えたというわけです。
--------亜麻を北海道に甦らせようという発想はどこから来たのですか?
>>内藤氏
僕が東京の商社を辞めて北海道に戻ってきた理由は、農業をやりたかったからなんです。
北海道に戻ってきて、あちこちの農家で研修をしているうちに、橋本という男と出会いました。
彼は土木コンサルの会社を経営している人物なのですが、
北海道を元気にしたいという想いを強く持っていて、北海道活性化に貢献できる事業をやりたいと
ずっと考えていたんですね。
北海道の特徴といえば、広大な土地と冷涼な気候です。
それを利用して何かできないかとなった時に、「亜麻」というアイディアをずっと温めていたらしいんですね。
彼と出会って、その亜麻の話で盛り上がったのがきっかけです。
じゃあ、二人でやってしまおうか、と(笑)。橋本は現在、弊社の会長を務めています。
当初は、亜麻の茎から繊維を採ることを考えていたのですが、
繊維産業というのはご存知の通り、現在は東アジア、東南アジアに出て行ってしまってますよね。
ですから、国内で天然繊維を取り出して、糸にして、布帛にするっていう設備がないんです。
もう国内には全くないんです。これは困ったなと思っていたのですが、
ちょうどその頃、亜麻の種子に含まれる脂肪酸の健康機能に関する論文が世界中で話題になっていた
時期だったんです。
いろいろ勉強をしている内に、亜麻の種子ってすごいな、と思いまして。
それまで健康食品やサプリメントとは無縁だったのですが、調べていく内にその必要性を感じてきたんです。
例えば、50年前のニンジンと比べると、現在のニンジンは含まれている栄養成分が少ないんです。
畑がやせてきたからなんでしょうか?
また、食生活の変化で、どうしても不足してしまう栄養素が出てきてしまうんです。
ちょうど息子がアトピーだったこともあり、亜麻に含まれている脂肪酸の不足が体内ホルモンの
バランスを悪くし、アトピーや中性脂肪・コレステロールの増加による生活習慣病の原因を作っていることを、
自分なりに深く理解したわけです。
そこで、自分がまず欲しい商品を・・・ということで種子の食品化、
サプリメントの開発からスタートしたのです。
亜麻公社という会社自体は2004年2月に設立しましたから、3年目に入りました。
それまでは会長の橋本が経営する土木コンサル会社の中に起業推進室という
僕の居場所を無理やり作ってくれまして(笑)、そこで栽培試験や調査をしていました。
--------起業するに当たって苦労はありましたか?
>>内藤氏
起業自体に関しては、それほど苦労は感じませんでしたが、問題はそれからですよね。
モノが売れなきゃどうしょうもないわけですから(笑)。
幸いだったのは、右も左もわからない中でスタートして、大塚さん(亜麻公社契約農家)に
出会えたことですよね。彼がいなければ無理だったでしょうね。
今、ようやくある程度の目処が立つ収量を確保できる段階になりました。
それからさっぽろ産業振興財団のベンチャー支援事業に認められたことが大きかったですね。
資金援助ももちろんですが、何よりもそれで人脈が一気に増えたんですね。
おかげさまで、本当にいろんな方に手伝ってもらえています。
今は本当に安い金額で協力してくれたり、「お金はいいよ、亜麻公社の事業は好きで手伝ってるから」と
いってくれる人がいたり、黒字になったら返さなきゃいけない人だらけですね(笑)。
--------大塚さんとはどのように出会ったのですか?
>>内藤氏
当たり前ですが、やはり亜麻の栽培体系を確立させることがまず大切なわけですよね。
最初の一年は自分で畑を借りて栽培していたんですが、やはりプロの農家の支援が必要だなと。
農業のノウハウもそうですし、農業機械もそうです。
あちこちの農家の方に相談しましたが、みなさんに断られました。
断られ続けて最後に行き着いたのが大塚さんでした。彼は地元では有名な農家さんだったんですね。
20年前から有機無農薬を主張していたり、新しい試みに次々挑戦する方でした。
昔は「大塚がまたバカなこと始めた」などいろいろ言われたみたいですが、
今では当別で大塚さんを知らない人はいないですね。
最初、大塚さんの家を訪ねた時は、奥さんとお母さんが出てきまして、
「ダメダメダメ!もうこれ以上ダメ!ただでさえ忙しいんだから、これ以上余計なことやらないで!」
って怒られて(笑)。
でも大塚さんは、僕と一緒に夢を追いかけてくれました。ちょうど空いてる農地もあったものですから。
この一年、大塚さんのところに通ううちに、奥さんやお母さんとも仲良くなれましたよ(笑)。
--------亜麻の栽培とは難しいのですか?
>>内藤氏
植物としては丈夫なので、それほど難しい栽培ではないのですが、やはり農薬を使いたくないんです。
健康機能が売りなわけですから。そうすると虫がついたり、除草が大変だったり。その苦労が大きいですね。
--------亜麻の国内での栽培は40年ぶりということですが、栽培技術、ノウハウの問題はなかったですか?
>>内藤氏
まずは古い文献を調べました。あとは現在、種から油を採る品種はカナダが世界的な産地なので、
カナダのデータですね。
それを参考にしながら、農業試験場で北海道の気候にあった形を試験してもらいながら少しずつ、ってところです。
農業は一年に一回しかトライアルできないですから、時間かかるんですよ。
--------「亜麻仁油」の商品化にあたって苦労されたのはどのようなことですか?
>>内藤氏
亜麻の油はとても酸化しやすい油なんです。ですから、油を絞っている時に温度が高くなると、
すぐにダメになってしまうんです。道立食品加工研究センターなどにお世話になりながら、
開発にあたったのですが、温度を低く抑えるのが、開発にあたって一番のポイントでした。
あとは種の選別です。とても小さいものですから、本当に難しい作業なんです。
--------販売の方は?
>>内藤氏
おかげさまで少しずつ伸びてきていますし、リピーターさんがすごく増えてきました。
現在は、インターネットでの販売と、札幌では東急百貨店をはじめ、何件かの健康食品、
自然食品を扱うお店に置いていただいています。札幌市役所の売店でも売っています。
--------今後、亜麻仁油以外にも亜麻を使った様々な商品や事業展開を考えられていると思いますが?
>>内藤氏
現在はサプリメントの販売だけですが、今後は亜麻の油を使ったドレッシングを開発して、
まずは試験販売していく予定です。
その他にも現在いろいろ考えていますが、もっと食卓よりの商品を開発していって、
亜麻そのもののPRに繋げていければな、と思っています。
最終的には、北海道を中心に、亜麻を食文化だけではなく、
まだ手をつけられていない繊維の方も含めて、文化として定着させていきたいと考えています。
花もすごく綺麗です。
亜麻の花畑にはじゅうぶん人を呼べる美しさがあります。
亜麻を利用した地域の景観作りにも貢献したいという想いもあります。
--------「孫の孫の孫の代にまで継がれる事業に取り組む」というのを企業理念に挙げていますね。
>>内藤氏
それは弊社の会長、橋本の口癖で、インディアンのとある部族から取っているんです。
その部族は、7世代後の子孫にとって良いことか悪いことをいつも考えて、
ものごとの判断基準にしていたらしいんです。
そういう考え方を現代人はしていないと思うんですね。
せっかく北海道で活動しているのですから、
「北海道でやっている意味」というのを後の世代まで僕は残したいと思っています。
【北海道は挑戦者を応援する土壌。積極的に好きなことにチャレンジすべき!】
--------内藤さんは出身は北海道ですか?
>>内藤氏
生まれは北海道ですが、父親の仕事の関係で、物心つく前から仙台、長野と引っ越しまして、
中学・高校は長野で過ごしました。
北海道には北大工学部に進学する時に戻ってきました。
大学卒業後は東京の商社に就職しましたが、その会社を退社して、
今はまた北海道に戻って来ましたから、いわば「Wターン」とでも言うんでしょうか(笑)。
--------北海道に帰ってこられたのは何年前ですか?
>>内藤氏
2000年の5月です。最初の一年は農業の研修を受けていまして、
次の年から3年間、橋本の会社にお世話になって起業準備をしていました。
--------内藤さんは北海道のどんなところが好きなのですか?
>>内藤氏
やっぱり自然ですよね。子供の頃から自然が大好きでした。魚や昆虫がとても好きなんです。
もと昆虫少年でしたし、高校時代も山岳部でした。
今でも、山に登って生き物の写真を撮るのが趣味です。
今、僕は手稲に住んで、自分で畑もやっています。本当はミツバチも飼って蜂蜜採ったりもしたいんですよ。
昭和40年代の農家の生活を僕は自分の理想にしてます(笑)。
夏には野菜も自分で作って、秋には漬物を漬け、鶏も飼って卵を採り、蜂蜜も自分で採る。
自給自足に限りなく近い、そんな生活をしたいと思っています。
--------北海道の農業についてお伺いしたいと思います。北海道の農業は後継者不足の問題が取り沙汰されています。
>>内藤氏
農業をやりたいって方は全国にたくさんいます。僕もそうでしたし、僕の知り合いでも4人ほど、
農業やりたいと北海道にやってきて、すでにそのうち2人は独立してやっています。
後継者の問題に関しては、僕は農家も会社と一緒だと思っています。
魅力的な農業をされている農家さん、いい雰囲気の農家さんはやはり後継者には困っていませんよ。
嫁不足って言われている問題もそうですよ。
やはり何をしていても同じですよね、魅力作りです。
僕のお付き合いさせていただいている農家さんたちは後継者問題には無縁ですよ!
--------北海道の経済状況についてはどうお考えですか?
>>内藤氏
皆さんがおっしゃるほど厳しいとも思わないですよ。前を向かなきゃやってられないじゃないですか(笑)。
うちの場合は北海道だから成り立つ事業ですから。
こんなに広い農地が札幌からすぐ行ける場所にあって、
北海道というイメージがあるからこそ売れる商品でもあると思います。
それに北海道にも前向きにいろんなことに挑戦している人がたくさんいるじゃないですか。
それはとても素晴らしいことですよ。
北海道には可能性がありますよ。我々のような駆け出しの会社を応援してくれる仕組みも
北海道は整っていると感じます。
行政も含め、新しいことに挑戦する人を応援してくれる土壌があると思います。
優秀な人も多いと本当に思いますよ。
支店経済の流れをまだ汲んでいるからこういう状況になっているだけで、
本当に北海道の特徴を理解して全国に打ち出していければ、いろんなことができると思っています。
--------最後に、若者に対してメッセージをいただけますか。
>>内藤氏
好きなことをとにかくやろうよ、ってことです。
一生懸命やっていれば、自分の足りない部分を補ってくれる人が必ず現れると思います。
そのためにもとにかく人を大切に、ということが一番だと思っています。
僕は商社にいました。商社というのは、とにかくモノを右から左へ流通するのが仕事です。
でも結局、会社の看板を背負っていても人と人の商売なんです。そこで本当に人脈の大切さ、
人のありがたみも学びました。今なんてもっとたくさんの人に助けてもらっています。
ですから、親にしても、家族にしても、友達でも、取引先の方にしても、
とにかく接する人を大切にしていくことですね。
人を大切にしながら、自分の好きなことを一生懸命やる。それが大事じゃないでしょうか。
こんな時代ですから。尻込みする必要は全くないですよ。
好きなことに挑戦しないで、黙っていたって食えなくなる可能性だってあるわけですから。
どうせなら好きなことに挑戦したらいい。失敗したっていいじゃないですか!
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★取材を終えて
自然で、飾らない。そして非常にポジティブ。
今回取材させていただきながら、そんな内藤氏の人柄にとても惹きつけられた。
「北海道のために!」と必要以上に力むことなく、
自分も地域の一員であることを自然に受け止めながら、自分が好きで取り組んでいることが、
そのまま北海道の役に立てばいい。いい意味で力の抜けたその自然さは、とても誠実なものだと感じる。
取材中、内藤氏は何度も周囲の協力者への感謝を口にしていた。
しかしその協力が得られるのも、内藤氏の誠実さ、そして前向きな明るさが人を惹きつけるからだとも思う。
「かつてのように北海道のいたるところで亜麻の花が咲き乱れる風景を作りたい」
「亜麻を活用した付加価値の高い道産ブランド商品を作りたい」。
そんな夢を、内藤氏は多くの人を惹きつけ、協力を得ながら、叶えていくのだろう。
亜麻の花言葉は「あなたの親切に感謝」である。
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有限会社 亜麻公社 http://www.amakousya.co.jp/
亜麻仁油 http://www.amakousya.co.jp/hanbai.html
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内藤氏 好きな書籍
★小説関連
・ 開高 健とサリンジャーは大好きで、全集も持っています。
・ 最近は疲れたときに川上弘美を読みます。
・ 川上健一の「翼はいつまでも」「雨鱒の川」は、
ドロドロしないストレートで安っぽい単純な感動を与えてくれました。
うきうきした気分になれました。
・ 「本の雑誌」という月刊誌が好きです。
★自給自足関連
・ 自給自足関連の本は読んでいて楽しいです。
家庭菜園に毛が生えたような内容のものから、ベーコンを作るために豚を飼って解体してって
ところから始める物凄いものまでいろいろ出ていますが、
ジョン・シーモア 「自給自足 完全版」、新田穂高・竹嶋浩二 「家族で楽しむ自給自足」あたりは
好きです。
自分でやってみたい内容もたくさん載っています。
★亜麻関連
・ 前田まゆみの「リネンが好き」は、
著者が本当に亜麻を好きなんだなぁと感じられて好きです。デザインも素敵です。
・ ドナルド・ラディンの「完全栄養食ガイド」は、
亜麻の保健機能がたくさん書かれている本のひとつです。
★自然関連
・ 生物が好きなので、専門書に近いものからエッセイテイストのものまで読みます。
図鑑を読んでいても飽きないという特殊体質です。
本州の出版社が出す生物の本は、北海道には棲んでいない生物のことが多くて、
北海道の子供たちには使いにくかったのですが(カブトムシも、それが集まる樹液を出すクヌギも、
カマキリだってゲンジボタルだって北海道には天然分布していないのです・・・)、
最近出版された「札幌の昆虫」「探そう!ほっかいどうの虫」は、
北海道にスポットを当てていて良かったです。
★歴史関連
・ 歴史小説も好きですが、淡々と事実だけが書いてある歴史の本が好きです。
古い本ですが「日本の歴史 全26巻」は古本屋で1冊100円で売ってますし、
内容もまとまっていて好きです。