札幌を拠点としながらも、世界規模の会社と肩を並べて戦い、
家庭用ソフトの販売シェアでは常にトップクラスに位置している。
お客様、取引先、社員と自社に関わる全ての人が共に栄えていくために
「自他共栄」の精神を経営理念に掲げ、「人や企業に優しいソフトウェア」
「低価格で良質なソリューション」を追求している。
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【「宛名職人」の誕生。自社販売したMac版が思わぬヒットに!】
--------松井社長は起業される前はどのようなお仕事をされていたのですか?
>>松井氏
もともとIT技術者ですよ。札幌のソフトウェア会社に勤めていました。
その会社は起業家を多く輩出していますね。
札幌のIT会社の社長で、その会社の出身者は10人近くいると思いますよ。
---------起業されたのはお幾つの時ですか?
>>松井氏
平成2年ですから、30歳でしたね。
---------きっかけは何だったのですか?
>>松井氏
単純に務めていた会社との方向性の違いです。
自分がやりたいことと会社の方針にギャップが出てきたというのが理由です。
---------起業にあたって不安はありませんでしたか?
>>松井氏
あまりなかったですね。どうにかなるんじゃないかと(笑)。
当初の仕事は完全に受託開発でした。
勤めていた頃から付き合いのあるお客様から結構信頼もあったので、
受託を受ける分には困らないだろうという考えもありました。
---------何名で始めたのですか?
>>松井氏
仲間と一緒に5名で始めました。
1ヵ月後に12名に増え、半年後には20名弱になっていました。
順調に受託開発の仕事も増えていきましたから。
---------受託開発から事業をスタートされたとのことですが、
現在は、「宛名職人」を筆頭に、家庭用のパッケージソフトが御社の主力商品になっています。
自社の商品を開発するようになったきっかけはあったのですか?
>>松井氏

2006年10月5日
Ver.14新発売!
僕が起業した頃はバブルの終盤でした。受注先もたくさんできて、社員も順調に増えていった。
でもバブルがはじけると、受注がなくなるわけです。社員の仕事がなくなります。
だから自分たちで何かを創るしかない、と。単純に理由ですよ。
何を創ろうかと思った時に、今までの受託開発の仕事で取り組んでいたことはできるわけですから、
まずはそこに近いもので自社の商品を創っていこうと。それで取り組んだのが「宛名職人」です。
---------発売当初は、販売は計画通り行ったのですか?
>>松井氏
計画の何倍も売れましたね。
そもそも計画通りに行くなんて思ってなかったし、成功するなんて思ってなかったです。
まだ「アジェンダ」という名前がほとんど知られていなかったわけですから。
当初からMac版とウィンドウズ版の両方をいっぺんに作ったんです。
販売に関しては、自分たちで販売するのはリスクが大きいということで、
OEM供給で売ってくれるところを探したんです。
ウィンドウズ版に関しては、すぐに見つかりました。
当時、パソコンが一般家庭に普及し始めた時代でしたから。
でもMacに関しては、全然見つかりませんでした。
「Macはデザイナーばかりが使っているから、家庭用ソフトの需要なんてなんてない」と
あちこちで言われて誰も扱ってくれませんでした。
作ってしまったものはしょうがないですから、
Mac版に関しては自分たちでパッケージも作って販売することにしました。
ですから、ものすごく少ない販売見込みを立てたんです。どうせ売れないだろうと(笑)。
で、いざ発売してみると、Mac版の方がすごく売れたわけですよ。
---------Mac版が売れた理由というのは何だったのでしょう?
>>松井氏
Macはデザイナーばかりが使っているというのは思い込みに近かったと思います。
実際には一般家庭にもかなり普及していました。
業界全体にもそういうイメージがありましたから、
Mac版に同様のソフトがなかったというのが売れた理由でしょうね。
ちょうどその頃、プリントごっこからパソコンで宛名印刷をする時代になりつつありましたから、
タイミングもヒット要因でしたね。
---------そこから家庭用パッケージソフトに参入していった、と?
>>松井氏
そうです。次に出したのが「やりくり上手」という家計簿ソフトで、
現在の「ミラクル家計簿」の前身です。
その後、「料理シリーズ」「名刺シリーズ」とラインナップを増やしていきました。
【経営危機からの社内改革。 札幌IT企業の中心を目指して!】
--------結果的に「宛名職人」は累計500万本を越えるヒット商品となったわけですが、
その後、パッケージソフトが下火になっていく時代が来たと思います。
>>松井氏
経営者は先を読め、と言われますが無理なところがありますよね。
結局、結果からしかわからないところは実際多いんですよ。
4,5年前に、ひどい赤字を出した時期があったんです。
ラッキーだったのは、その赤字を受け止めるだけの資金がその当時あったということです。
それがなかったら、潰れていたでしょうね。
そこで、パッケージだけではやはりダメだということで、会社の体制を大きく変えたんです。
それから会社を4つのセクションに分けました。
うちは何ができるだろうと考えた時に、
それまでも手がけていた旅行業のシステム開発やゲーム開発を、それぞれ独立したセクションにしました。
それから新規事業をやる部門ということで、法人・自治体向けの事業推進室も作りました。
パッケージ部門、ゲーム部門、システム開発部門、旅行業システム部門の4つのセクションです。
そこから会社のシステムはがらりと変わりました。給与の体系も全く変えました。
--------社長にとって苦しかった時期ですか?
>>松井氏
苦しかったかなぁ。当時はそれほど意識してなかったですけど、
振り返ってみるとそうかもしれないですね。
でもその時期がなかったら、勉強しなかったでしょうね。
それがあってから、ずいぶん経営関係の勉強をしました。
それまでは少し経営を甘く見ていた節が自分にはあったと思います。
ですから、いい経験にはなったと思います。
--------その時期に松井社長を支えてくれた信念みたいなものはありましたか?
>>松井氏
努力は常に報われるものだ、とは思っていましたね。
栄冠は掴み取るものだとよく言われますが、僕は栄冠というものは、
努力した人のもとに自然にやってくるものだと信じています。
--------現在は、その4つのセクションが機能的に分かれていて、
とても「組織」として確立されている印象を受けたのですが、松井社長の組織論について聞かせてください。
>>松井氏
一長一短ですよ。かなり縦割りになってしまっていますし(笑)。
要は、何がいいとか、何が悪いとか、答えはわからないわけですよ。
もし答えがあるなら、組織と呼ばれるものは全てそこに行き着くのですから。
でもそんな答えは存在しないから、面白いんと思うんです。
僕がよく言うのは、「うちは遠心力による経営だ」ということ。
「遠心力」というのはどういうことかと言うと、全ての力を中央に集めるのではなくて、
できる限り外に出す。それぞれのセクションごとに即断即決できるような組織を
作っていかなければならない。それぞれのセクションは担当の現場に近いわけですから、
そこで判断できるようにする。ですから、かなりの権限を各セクションに与えています。
それをやった結果かなりの縦割りになってしまったな、という印象もあります。
例えば、賞与などの面でも格差が出て来たり、評価制度にも問題は出てきます。
ただ、こういうことは振り子と同じですから、行き過ぎたらどこかでまた戻るんだろうなと思っています。
何が正しいかなんてわかりませんから、とにかくやってみるというのが僕の考え方です。
--------今後のヴィジョンや夢があれば教えてください。
>>松井氏
個人的には昔から、晴耕雨読の生活をしたいと夢見ています。
晴れた日には釣りに行って、雨の日は本を読んで過ごす。ずっと夢見ていますね。
会社としては、やはり大きく成長させたいと思っています。
ただの「作業」ではない価値のある仕事をしていきたい。
札幌のIT企業はもっとまとまらなくちゃいけないと思うんですよ。
札幌といえばIT、と言われるような街になってほしい。そのためには中心となる企業がなければいけない。
その中心にアジェンダが位置できればいいな、と思っています。
【若者はまずは一歩踏み出す勇気を!やってみなければ、何も始まらない!】
--------松井社長の御出身は?
>>松井氏
山形です。北海道には大学進学にあたってやって来ました。
--------北海道に来ようと思った理由は?
>>松井氏
単純に試験科目が、僕の選択科目と合っていたという理由ですよ(笑)。
東大と北大しかなかったんですから(笑)。
--------北海道は好きですか?
>>松井氏
好きですね。北海道は一回住んだら、こんな素晴らしいところ他にないと思います、本当に!
最近、移住誘致が話題になっていますけど、一回住まわせたら勝ちなのにね(笑)
--------今の北海道に対する苦言はありますか?
>>松井氏
自分でサービスや商品を創り出すっていう精神が少ないと思いますよ。
それから、北海道のコアとなる産業がよくわからないですよね。
行政はITやバイオを育てると言っています。
それも重要ですが、北海道として単純に考えると一番中心になるのは観光だと思っています。
その観光に対して、もう少し手を打たなければいけないんじゃないかなとは思います。
例えば今、ニセコにはオーストラリアからたくさんやってきていますけど、
あまりお金は落としていっていないですよね。
北海道の目指すべきところは、高級リゾート地だと思うんです。今みたいな安っぽい観光ではなくて。
最高の素材はあるんですよ。でもその素材を活かせてないですよね。
観光に来た人に対するサービスも含めて、それは文化として創っていかないと。
--------札幌のIT業界を取り巻く状況はどのように分析されていますか?
>>松井氏
先ほども言いましたが、 自社のサービスや商品を持っているところが少ないと思います。
下請け、アウトソーシングだけでは、安いところへ仕事が流れていくのは自然のことです。
そうなると、今後はインドや中国との競争になってきますから、厳しいですね。
もっともっと自社のサービスや商品を創っていこうという精神がないと難しいのかなとは思いますよね。
--------現在、IT技術者に対する人材ニーズは完全に需給バランスが崩れています。
今後、IT技術者に対するニーズはどのように変化していくと予想していますか?
>>松井氏
今、IT技術者は3Kと呼ばれています。
ですから、技術者になりたいという人の絶対数が増えていくかというと疑問なのですが、
需要は間違いなくどんどん増えていきます。環境として増えざるを得ないですね。
何で増えていくかというと、今やあらゆるものにITプログラミングが施されている時代ですね。
炊飯器にも入っています。家電、携帯…。どんどん増えています。
ものすごい数と量のプログラムが必要なのです。これから減るという要素はないですよ。
--------そのような状況の中で、札幌でのIT技術者の育成という面はどうなのですか?
>>松井氏
例えば、弊社も加盟しているIT推進協会などでも、すごく話題になるテーマです。
今後どうやって育成していこうかと。
北大あたりも企業と連携して、研修コースを作ろうと動いています。
数だけの問題ではなく、「質」という問題もあります。
IT技術者たちも危機感を持って勉強していかなかったら、今後仕事は全部、中国、インドに取られますよ。
あれだけの人口がいて、技術的にも飛躍的に成長していますから。
--------日本は逆に人口が減り始め、若年層が減っていることに加えて、
ニート・フリーターが増えて労働人口がどんどん減っていっています。
さらに、2007年問題と呼ばれる団塊世代の大量退職も問題になっています。
>>松井氏
団塊世代のノウハウというのは、まだまだ日本に必要でしょうね。
我々の業界の話をすると、IT業界の技術の進化のスピードというのはものすごく早いんですよ。
このスピードを追っていくのはとても大変なんです。
ですから、弊社のような規模の会社が生き残っていくには、先端技術を追っていくのではなくて、
ノウハウを追求していくべきなんです。
業界に特化したノウハウだとか、ユーザーに対応するためのノウハウだとか。
ノウハウというのは廃れにくいものですから。そういうノウハウを探していかなければいけない。
団塊の世代には、そういうノウハウを持っている方がいらっしゃいますよね。
そういう人材は、弊社ももちろん活用したいと思っていますし、多くの企業が必要とするでしょう。
テクノロジーというものはどんどん進化して、古いものは廃れていきます。
でも廃れにくいノウハウを持っている方は本当に価値があると思います。
団塊世代の方にはまだまだ活躍して欲しいと思いますし、そのための場を提供する必要があると思います。
--------では、ニート・フリーター化している若者について、
メッセージやヒントになるような言葉をください。
「好きなことが見つからない」「やりたいことがわからない」という若者がとても多いと思います。
>>松井氏
何もしていないのにやりたいことが見つかるってこと自体がそんなにないと思うんですよ。
やりたいことがない、って言い訳だと思います。まずは何でもやってみることが重要だと思います。
まず踏み出すことであって、それでダメだったら次へ行く。
仕事をすぐに変えるというのもよくないのかもしれませんが、まずは踏み出すことの方がよっぽど大切ですよ。
実際にやってみないとわからないですよ。自分に合っているかどうかなんて。
「自分はこういう人間だ!」って思い込んでいて就職に踏み切れない若者もいるかと思うのですが、
実際にやってみたら案外向いていたとか、楽しかったってことはよくありますよね。
嫌々ながら始めた事も気がついたら好きになっていたってパターンだってあるじゃないですか。
そのためにもまず一歩踏み出すことですよね。
ちょっとの勇気は必要かもしれません。慣れないところに行くわけですから。
でもやってみなきゃ、何もわからないままですよ!
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★取材を終えて
松井氏への取材は、とても楽しく充実した時間であった。
気さくで、ユーモアに溢れた松井氏との対話は、終始笑いもこぼれる、和やかなムードで進行した。
我々がお会いしただけでも、アジェンダには素晴らしい人材が揃っている。
それはやはり松井氏の人間的魅力に惹きつけられて、集まってきたのだろうと思う。
インタビューの最後に語っているが、松井氏は一歩踏み出す勇気、行動することの大切を語っている。
「無駄なことはしないという人もいますし、成功するために効率を追求するのも正しい考え方だとは思います。
でも、実際に自分で足を運んで、人に会って、そこから得られることの方が圧倒的に多いはずですよ。
いろんなことが得られるじゃないですか。意図してなかったようなことも。」
とりあえずやってみる。行ってみる。見てみる。聞いてみる。
そうして行動してきた人は、おそらく全てにおいて重みが出てくるのだろう。
言葉にしても、オーラにしても。
「行動する」ということは、おおげさな言い方をすれば、自分の存在価値を高める行為でもあるのだと思う。
松井氏の人間性はそのような「行動」の中で培われてきたものであろうし、
それはこれまで紹介してきたイノベーターたちに共通する要素でもある。
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★関連ウェブサイト
株式会社 アジェンダ
http://www.agenda.co.jp/
株式会社 アジェンダ 求人情報
http://www.agenda.co.jp/recruit/index.html
「キャリナビ北海道」求人ページ
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松井氏 推薦書籍
デール・カーネギー 『道は開ける』
「ずいぶんと支えになった本です。」
ジェームズ・C・コリンズ 『ビジョナリー・カンパニー2』
「起業を志す人はぜひ!」
トーマス・フリードマン 『フラット化する世界』
「インターネットの普及によって地球はフラットになり、インドや中国がグローバルな競争力を身に付けて、先進国の仕事はどんどん奪われていく、という話です。
最近読んで、とても面白かった本です。」