2007年秋開幕予定の新しいバスケットボールリーグに参加することを目的に
株式会社Fantasia Entertainmentを立ち上げた水澤氏。
バスケットボールを通して北海道の人々の生活に夢と楽しみを提供すると共に、
北海道内の市町村を結び、北海道とアジアを結び、そして子どもと大人を結ぶ、
架け橋のような存在になりたいと水澤氏は語る。
過去には現役の母親としての感性と経験、ひらめきから保育サービスを提供する
株式会社コティを設立し、保育サービス事業の4大大手企業にまで成長させた経歴を持つ。
その後は株式会社北海道フットボールクラブ(コンサドーレ札幌の運営会社)取締役を経て、
スポーツの持つ可能性に触れ、現在に至る水澤氏。
ベンチャースピリットを常に持ち続ける氏が、「誇れる北海道・元気な北海道」を目指し
立ち上がった。
北海道札幌市出身の北海道を代表する女性起業家。
IsM初の女性イノベーターの登場!!
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【コティ、コンサドーレ、ファンタジア。生きている実感を求めて、新しいフィールドへ】
--------大学を卒業後は放送局でアルバイトをされていたとのことですが?
>>水澤氏
はい。放送を作る方の仕事、ディレクターなどに興味がありアルバイトを始めました。
本当は文章を書くのが好きだったのでライターになりたかったのですが、
そちらの方面には就職できませんでしたから。
大学の時にアルバイトをしていたリポーターの仕事を卒業後もそのまま続けました。
全国を周り取材し、原稿を作成して喋るという仕事と、番組のアナウンサーの隣で
アシスタントの仕事をしていました。
---------どのくらい続けられたのですか?
>>水澤氏
20歳から3年間続けました。
結婚して仕事を辞めようと思っていたのですが、妊娠7ヶ月目でも現場に立っていました。
その後もフリーでイベントの司会やリポーターの仕事を続けました。イベントで司会を
やっていると、もっとこうした方がいいんじゃない?というアイディアが結構ありました。
そういうことを提案するうちに、最初から企画して欲しい、と言う依頼もありまして、
元々人前に出ることよりも作り出すほうが好きでしたから、イベント会社を立ち上げました。
その会社を立ち上げたのが昭和63年です。
バブルの影響もありかなり順調で、収益もずっと伸びていました。
---------28歳の時に5000万円の借金を負ったというのは本当ですか?
>>水澤氏
はい。当時の夫の事業が失敗し、自己破産されてしまったので、債務のすべてが私のところに
来てしまったのです。驚き、悲しくはなりましたが、「これが大人の責任なんだ」と感じました。
自分が作った借金ではないけれど、保証人になった以上きちんと責任を取らなければいけないと
思いましたね。
昼間も働き、夜も居酒屋のアルバイトを始めました。日払いで給料をもらわなければいけない
ほど、困窮したこともあったのです。でも夜のアルバイトは1週間で止めにしました。
へとへとに疲れてしまい、昼間の仕事が手につかなくなり、本末転倒だと悟ったからです。
本来、自分は事業家なので、事業をやっていれば1時間の時給を5000円にも5万円にも
50万にも100万にもできるはずだ。自分はなんでこんなことをやっているのだろう、と思いました。
事業でお金を見出す方法を考えることが事業家ではないかと自問しました。
5千万の借金がある、3人も子供がいる、社員がいる。返さなければいけない、食べさせていかなければいけない、自分も生きていかなければいけない。
そう考えると最低でも人の3倍働かなければなりませんでした。
ですから、働く母親として自分自身も不便に感じていた「保育・ベビーシッター」という分野の
事業モデルを本格的に確立しようと真剣に取組みました。
それが現在の「コティ」です。
当時は子育て支援というのは「福祉」でしかなかったのです。私は「サービス」という捉え方が
できるのではないかと考えました。
例えば、ショッピングセンターに行くと子どもを預けてゆっくり買い物をしたい。
そう思う母親は多いはずです。それに応えるのもサービスですよね。
また企業に対しても、社員の福利厚生という意味で、社員のための保育施設や制度の導入を
提案できるとも思いました。
---------保育を「福祉」と捉えている人たちからの風当たりもあったかと思います。
>>水澤氏
そうですね。やはり新しいことを始めたわけですから、それに対しての理解を得ることは
難しかったですね。
最初は社員の大半にも抵抗があったようでした。現在でもそうですが、保育士というは
「児童福祉」という観点を中心に教育も受けますから。
ですが、実際に取り組んでみるとこの事業の必要性を感じ、お客様からの感謝の声を実感して、次第に受け入れられるようになっていくようでした。
---------全国で70以上の保育所を運営するまでに発展されたわけですね。
>>水澤氏
年に220回くらいは飛行機に乗って全国を飛び回っていました。
それは今も変わらないのですけど(笑)。
---------順調に発展を遂げていく中、コティを大手企業に事業譲渡されました。
どのような考えがあったのですか?
>>水澤氏
そうですね。2つの理由があります。
一番大きな理由は、「自分は何をやっている時が楽しいか?」ということ、
もう一つは、私のマネージメント能力という現実の問題があると思ったのです。
もし、企業を船に例えるとすると、私にとってのイメージは最初は危なっかしい、
でも自分のオールで漕いでいるという実感がある手漕ぎボートで、少し成長すると
そのボートにモーターをつけたモーターボートになって、クルーザーになって・・・なんです。
私は会社がクルーザーくらいかな、という大きさになった頃までは自分で操縦して風をきる
快感があったのですが、社員が300人近くなり、客船になっちゃったな、と感じた時、
確かに自分は船長だけれど、船を自分で動かしている実感が得られないな、ちょっとつまらないな、と感じることが多くなっていったのです。
現場は、直接お客様と対応するとても楽しい場所だけれど、自分にとってはちょっと遠くなってしまったし、それでも何かトラブルがあった時にそれを処理する場面での責任はとても大きくなっていく。
後は、私に上がってくる数字の並んだ書類をチェックするだとか、そういうことばかりが多くなって、事業を生でやっているという実感が少なくなってきました。
さらに、従業員が300人を越えた時、もう少しロジカルにマネージメントを考えられる人が経営した方が会社も発展するし、お客様にとってもいいと思いました。
もう絶対その時が来た、と感じました。それから実際の譲渡までは、4年ほどかかっているわけですが。
それに、経営者は、創業者だからといて、いつまでも会社にしがみついていてはダメだと思いますしね。もちろん、これ以上大きくしないなどと決めていられれば、今もコティを続けていれば楽だったとは思いますけど。
今とても苦労していますから(笑)。
---------今のお話をお伺いすると、水澤社長ご自身は苦労の中で、
ベンチャースピリットを持って仕事に取り組める方が楽しいと感じるのですね。
>>水澤氏
そうですね。そのほうが生きている実感、やっている実感があるので凄く楽しいです。
---------コティを譲渡された後、北海道フットボールクラブ(コンサドーレ札幌の運営会社)
取締役という全く異業種の世界、スポーツの世界に入られました。
きっかけは何だったのですか?
>>水澤氏
単純にコンサドーレの児玉社長に誘われて、です。
「水澤さんが入ってくれないなら、僕は社長を辞める」なんて言われて、
断れない状況だったので(笑)。後で考えれば児玉社長は、すごく交渉上手だったと思います。
でも、仕事はやる以上楽しくやらないと自分が損をしますから、そこで楽しもうと思いました。
---------コンサドーレに入られて、スポーツクラブのマネージメントに携わって、
感じたことはどのようなことですか?
>>水澤氏
1つはスポーツというものは思った以上に地域に貢献しているなということ。
2つ目は社会的にとてもいい影響力があるということ。
3つ目はきちんとしたマネージメントをすれば儲かるということです。
---------スポーツの持つ「社会的にいい影響力」ということを具体的に教えてください。
>>水澤氏
まず、子どもを育てる上で、スポーツは社会に出ていく時に必要な力を与えてくれると思います。
例えば、理不尽な判定だとしても審判がダメといったらダメだということや、仲間をうまく使わないと成果が上がらないことだとか、社会に出たらよく起こり得るシチュエーションを体験できます。
そういうことを早いうちに教えてくれる。
努力しても報われないことだって多々ある、ということもそうです。どれだけ頑張っても負けてしまうことがあるんです。
それでも、気持ちを切り替えて次に行こう!!という力を身につけられる。
ほんの一つの例ですが、普通にやってもあまり集まらない募金活動でも、ちょっと選手が声をだして募金活動をすれば普通の募金活動以上にお金が集まります。
募金活動の最初の取っ掛かりは選手のそばに行って見たい、ということかも知れないけれど、結果募金が集まり社会に貢献することに繋げていける・・・。そうした活動を通して社会に良いメッセージを発信していける。
それはとても社会的に意義のあることだと思います。
そして、最後はもちろん経済的な効果です。スポーツは、必ず公共施設を利用して開催されるわけで、しっかり自治体などの地域に対してお金を落とす、という仕組みが定期的に生まれます。
---------コンサドーレを退任された理由はなんだったのですか?
>>水澤氏
知り合いの方から、「バスケットボールリーグがプロ化するから、北海道でやってみたら」という話を頂きました。
最初は断るつもりでいたんですよね。
でも断るにしても理由が必要だと思って、バスケットボールについて詳しく調べてみたんですよ。
そうしたら、例えば北海道はバスケットボールの競技人口が日本で2番目に多いだとか、サッカーチームの5分の1位のコストで運営できて、でもきちんとやれば売上は3分の1位にはなり得るだとか、体育館競技なので北海道の気候を考えるとうってつけだとか。
調べていくと断る理由がなかったんですよね(笑)。
それで最終的にはやることにしました。
コンサドーレの方は売り上げ目標や集客目標は全て2桁アップでクリアしました。私のミッションは果たせたと思いましたし、組織も順調に機能し始めていたので自分が抜けても問題なし、と感じ退任させていただくことになりました。
【北海道をとにかく元気に!! 〜地域に密着した「我が町のチーム」を目指して】
---------コンサドーレを退任されて、ファンタジア・エンターテイメントをゼロから立ち上げたわけですが、同社設立の社会的意義やビジョンを教えてください。
>>水澤氏
平たく言えば、「北海道をとにかく元気にしたい」という想いですね。
ここに住んでいる人達が、趣味を持って活き活きとした楽しい暮らしができること、
そしてそれだけではなくしっかりとした経済的裏づけがあるということ。
私達が存在していることによって経済的効果を北海道に落とすこと、そして人々に楽しみを
与えていくこと、この二つを使命だと考えています。
---------ではそれが成功するために必要なことは何でしょうか?
>>水澤氏
当然ですが、北海道でどれだけの人に受け入れられるか、根を張れるか。それが重要ですね。
今は大人のプロバスケットボールチームだけですが、将来はジュニアやユース年代のチームも作っていきたいと思っています。
地元の子供たちを育成しながらトップチームに引き上げていく。地域に密着した活動をしながら地域に貢献していきたいです。
そしてジュニアやユースのチームなどを全道に作って、ファンタジア・リーグができたらいいですね。
その中でプロを目指す子は目指して欲しいと思っています。
最終的には北海道から日本代表選手が輩出できたら、地域が盛り上がって活気付くのではないかと思います。
---------スポーツビジネスの世界ではテレビ放映は欠かせない存在になっていますが、
テレビのコンテンツとしてバスケットボールをどのように考えていますか?
>>水澤氏
全国的に見ると、たとえばバスケットボールにも、天皇杯があるんですけど、それが毎年決勝になると14.5%の平均視聴率を取っています。
悪くない数字ですよね。
バスケットボールのシーズンはちょうど野球やサッカーと入れ替わりですから、北海道の方には「冬のスポーツ」として楽しみにしていただけるといいですね。
バスケットボールのプロリーグはアジアでは中国・韓国・台湾・フィリピンなど様々な国で既に成功を収めています。
東アジアではとても人気があるスポーツなので、日本でも今後更に発展してくれるといいですね。
---------取組むことはたくさんあると思うのですが、どういうチームを目指したいですか?
>>水澤氏
やはり多くの方に気に掛けていただけるチームになりたいです。
「我が町のチーム」と認識していただけるように浸透させていきたいということと、
しっかり経済的効果を出せるチームを目指します。
言葉で言うのは簡単ですがそれが難しいことなのですけれど(笑)。
-----実際に動き始めて手応えや応援を感じますか?
>>水澤氏
感じますね。やっぱりちゃんと伝えていけば伝わっていくんだなと。
応援の声をたくさん頂きます。
バスケットは競技人口が多いというのもあり、10人集まればそのうち1人はバスケをやっていた人がいますから、とても層の厚さを感じます。競技の優位性での一つでしょうね。
【苦労はその人が乗り越えられる量しか与えられないから。】
----------水澤さんもこだわられている「北海道の活性化」についてお伺いしたいのですが、
北海道の魅力はなんでしょうか?
>>水澤氏
一つは四季が凄くはっきりしているので、人々が暮らしの中で「自然」を感じながら生活できるということですね。
ですが、正直言うと私は今の北海道はあまり好きじゃないんです。
そのことが、私が北海道を元気にしたいと強く思う源泉でもあるのですが、せっかく自分が生まれ育ったところなので本当は誇りに思いたいんですよ。
でも、4%経済という言葉がよく言われたりしますよね。その言葉の中には、おまえのところは生産性が低いっていう意味が込められているような気がして。
北海道の人もビジネスに対するセンシティブな感覚があまりないように感じます。
今の北海道では誇りに思えないので、「このままでは嫌だ!」という気持ちが私の原動力になっています。
例えば、自然や四季など、地球上での位置、地理的なものは非常に優位性が高いのだけれども、そこに住んでいる我々がそれを謳歌したり、売りにしたりということが非常に下手くそで怠惰な感じがしています。
ですから、そこをなんとかしたいという気持ちが原動力になっていて、北海道の魅力とか北海道が好きという気持ちは私の中ではまだまだ発展途上ですね。
とても歯がゆさを感じています。
-------ニート・フリーター問題にも大きな問題意識をお持ちだとのことですが、「やりたいことがわからない」という若者がたくさん存在しています。
彼ら、彼女らにどんなメッセージをお持ちですか?
>>水澤氏
私は、「好きなことが見つからない」ということについて言えば、一生懸命何かに取組む癖がついてないからだ、と思うんですよ。
例えば、部活なんかでもそうだと思うのです。
最初はボールを触らせてもらえない。下積みがあり、先輩に叱られ、始めは辛いこともたくさんあります。嫌な思いをいっぱいして頑張ってきたから、途中で投げ出せないものになるわけですよね。
仕事も一緒なわけですよ。その過程を省いてしまって、いきなり好きなものが見付かるわけがないんです。
とにかく目の前のものに一生懸命取組んでみる、という時間を自分で意識して作っていかなければいけないと思います。
好きになる努力を惜しまないということが重要です。
私はサッカーのルールも知らなかったです。だけど、今はサッカーの魅力を伝えることができます。バスケットボールも体育でしかやったことがないけど、今だったらその魅力をきちんと伝えることが出来ます。それは一生懸命やっているからなんですよね。
一生懸命やるということが、自分にとってかけがえのないものをいっぱい増やしていくということなので、結果ハッピーになれるんですよ。
だから、一生懸命やるということは決してバカらしいことでも何でもないです。「努力」は自分が豊かになっていく、精神的な部分が豊かになっていく重要なツールでもあるし、スキルでもあるかなと思います。
----------それは行動習慣で身に付くものだと思いますか?
>>水澤氏
やっぱり最初は意識をしなければいけないと思いますね。それが癖になり、そのうち意識しなくなると思います。
私に唯一能力があるとしたら集中力だと思うんですよね。車を運転している時、道路のミラーがバスケットゴールに見えるんですよ(笑)。
常に目の前にあることを集中して考えているので、「これだ!」と決めたら没頭できるんですよね。
----------様々な苦労を乗り越えてこられたかと思います。
水澤さんを支えている「信念」と呼べるものはありますか?
>>水澤氏
自分で思っているのは「苦労借金説」ということです。
苦労と言うものは、その人が乗り越えられる苦労の量しか与えられないと思っています。だから何か辛い問題があっても、それは私が乗り越えられる程度のものだ、と思っているんですよ。
借金も同じで、小学生が銀行に行っても1億円借りられないですよね。借金返済能力がないから貸せない、ということです。基本的には、返済能力がある人が返済できそうな分だけお金を借りることが出来ます。
苦労も同じです。自分の能力で乗り越えられない苦労は自分には来ないと思っています。
----------IsM初の女性イノベーターです。起業を目指す女性や働く女性たちに何か一言頂ければと思います。
>>水澤氏
起業を目指す女性に対しては、ともすると女性は夢の部分だけを追いがちなりますから、
それに対するリスクだとかマーケティングの目だとか客観的評価を意識して、常に自分の中に二つの目を持たなくちゃいけないということが一つです。
働く女性たちに対しては、やはりまだまだ男性よりも教育されるチャンスが少ないケースが多いので、常に学ぶ機会を自分の方から演出していって欲しい、ということです。
私も、「女性だから」ということで感じた苦労はたくさんありました。
それを乗り越えて頑張ってほしいと願っています。
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★取材を終えて
「新しいところに飛び込んでいくのは自分自身楽しい」と話し、フロントもチームも全くゼロベースでのスタートから道内初のプロバスケットボールチームを創り上げようとしている水澤氏。
「もうずっと休みがないんですよね。」と笑って話す。
自らが身を投じた新たな世界での挑戦と創造。試練を乗り越え、それを楽しむ水澤氏のバイタリティーや強さはどこから来るのだろうか?そんな疑問を投げかけた時、「全然ダメですよ。きのう風邪ひいたばかりで…。強くないんです。」と笑った。
彼女の強さを少しだけ垣間見ることができた気がした。
穏やかな口調で話す水澤氏からは、女性らしさ・強さ・優しさを感じたが同時に自分に対する厳しさも感じられた。
バスケットボールチームの名前は一般公募の中から「レラカムイ北海道」に決まった。
「レラカムイ」とはアイヌ語で「風の神」という意味である。ファンタジア・エンタテインメントが
今後どのような新風を北海道に巻き起こしてくれるのか非常に楽しみである。
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★関連ウェブサイト
株式会社 Fantasia Entertainment
http://www.fantasia.bz/
水澤氏ブログ「バスケットボールはお好きですか。」
http://fanta2006.exblog.jp/