イノベーターズモード presented by キャリナビ北海道

File No27

アロマ・ハーブに関するヘルスケア製品などの、
ハーバルメディスンの開発及び製造を行う
ネイチャーテクノロジー株式会社 代表取締役 刈田貴久氏。

医療・ヘルスケア分野での天然ハーブが有する生理活性を科学的に明らかにし、
独自技術のドラッグ・ガス・デリバリー・システム「DGDS」で、
香り成分を主成分とした製品を、医薬の一分野に育て上げることを目標にしている刈田氏。

東京から岩見沢にIターンした理由、独自技術や今後の展望について話を聞いた。

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【大学卒業後の渡米!帰国後はカリスマ高給塾講師!〜未知なるバイオ業界への進出】

--------ご出身はどちらですか? >>刈田氏


生まれも育ちも東京都の新宿区です。
渋谷の高校に通い、大学も東京で、大学を卒業した後、アメリカの大学に行きました。

--------大学では何を学ばれたのですか? >>刈田氏


日本の大学の専攻は歴史学で、教員免許を取り、最初は教師になるつもりでした。
入学した大学がたまたまバレーボールが強かったのですが、僕は背が低いので、2年生の時に監督から、「おまえは指導者の勉強をしたほうがいい」と言われて。
当時教育実習をした女子高はバレーの強豪校だったのですが、そこでコーチをすることになりました。
18年位前ですから、当時のスポーツの練習は一生懸命やることだけが、「根性があって良し」とされていた時代でしたから、オーバーユーズと言って、やり過ぎて怪我をするんです。
コーチや監督の意識が低く、怪我をする子が非常に多かった。
特に頑張っている子ほど体を壊してしまうんです。

僕も腰椎椎間板ヘルニアを持っていたので、明らかにその子たちもヘルニアになってしまうなと思って、「休んだほうがいい。」と言うんですけど、レギュラーの子は、レギュラーを奪われたくないから休まないんです。
痛みをこらえながら頑張って、それでも監督にさんざん怒られて。
それがやりきれなくて、そこの学校でそのまま教員として就職する予定だったのですが、スポーツ医学の勉強をしてトレーナーになりたいと思い、アメリカの大学にスポーツ医学を学びに行きました。

僕がアメリカで勉強している技術は当時、日本で習得している人が全くいないものでした。
ですから、そのノウハウやテクニックを買われて、プロのスポーツチームや実業団から引き合いがあり、大学在学中にも関らず、既に色々なチームにトレーナーとして入っていました。

--------日本に戻ってきたきっかけは? >>刈田氏


まず、トレーナーをやっている間に結婚したことです。
給料は現在より多かったですね(笑)。
収入はかなり良かったのですが、当時のトレーナーには福利厚生がなく一定した収入も常に入るというわけでもありませんでした。
不安定さが付きまとう「プロ」の世界でしたから。

そんなある時、当時上場を目指していた、年商200億円くらいの学習塾の方に声をかけてもらいました。
その会社は、本来だったら副業はダメだったのですが、僕がトレーナーをしていた先は会社の宣伝になるようなプロスポーツ団体もあったので、辞めなくていいと言われ、トレーナーも掛け持ちしながら、塾講師を始めたんです。
その塾の戦略がはまって、僕はいわゆる広告塔になりました。「目玉講師」というやつですね。
講師数が400人くらいいる大きな会社だったのですが、僕は新人でトップセールスになりました。普通は一人の講師が20人くらいの生徒を見るのですが、僕は400人以上いましたので。
土日も休みなく働き、全社会議で、今思えばお恥ずかしいのですが、父親くらいの年齢の人たちの前で、「生徒たちを集めるには・・・」と、偉そうに喋っていましたよ(笑)。

--------順風満帆のようでしたが、塾を辞められたのはなぜですか? >>刈田氏


父がずっと「香り」の研究をしていたのです。
香りと言っても、アロマテラピーや化粧品ではなく、医薬品としての研究です。
本人は自分の会社も持ち、大手の化学品メーカーや製薬メーカーの技術顧問も歴任しながら、香りの研究に従事していました。
香りの成分に含まれる生理活性作用を抗菌だけではなく、免疫調節・アレルギーなど医薬分野へ利用できないかと模索していたのです。

その頃は「香り」が皮膚から吸収されるという事実はほとんど考えられていなかったのですが、1996年頃、猫免疫不全ウイルス(FIV)といっていわゆる猫のエイズウイルスなのですが、そのFIVに対して香りのある成分を肌から吸収させた際に免疫細胞が正常化して、FIVの症状が緩和されたという発見を父が大学との共同研究を行ったのです。

それが、HIV、人のエイズにも応用できる技術であるということで、メディアにたくさん取り上げられて、もの凄く注目を集めました。


それで、父のもとに投資会社から会社を作らないかと言うオファーがきたんですが、父は研究者なので、お金の管理とかにはあまり向かないんですね。

誰か経営者になる人はいないかということで、今度は僕に白羽の矢が立ちました。
私は当時、父とは真逆の仕事をしていましたから、正直、当時はあまり興味はなかったのですが(笑)。
父に投資をしたいという投資会社の投資部長に会った時に、経営の「け」の字から教えてあげるからと説得されました。「お父さんのやっている仕事は社会貢献性も高いし、世の中を変えることもできる!全部を一から教えるから飛び込んでこないか。」と熱心に誘われて、会社の代表に就任したのが始まりです。


【北海道岩見沢市で単身起業! 〜 独自技術と販売戦略で「香り」のリーディング・カンパニーに!】

--------そこからバイオ業界に入られたのですね。 >>刈田氏


始めは、ライセンス契約を大手製薬メーカーと進めていたのですが、先方の事情で契約が暗礁に乗り上げてしまいました。
しかし、製薬メーカーの担当ディレクターの方が、「せっかく若くして頑張っているのに、これで全てが無くなってしまうのは勿体無い。」と言ってくれて、彼の知人をたくさん紹介してくれたんです。「一緒に事業できるような人たちの目処をつけてくれ」と。
毎日10人以上の人と会い、総勢500人くらいの様々な方たちにお会いしました。
そのうちの一人が当時、東京の事務所で北海道の企業誘致をしていた道庁の方だったのです。

その時は北海道といっても全くピンとこなくて、僕とは全く接点がなさそうだなと思っていました。しかし、実際に会ってみると非常に魅力的な方で、お互いに惹きつけられる部分がありました。「何ができるかはわからないけど、毎月1回会いましょう!」と盛り上がり、月に一度ミーティングを持つことになりました。

そんな中で彼から、「刈田さん、農業から始めたらどう?」という提案がありました。
当時はHIVに関する成分を中心にしていたのですけど、それ以外にも何十種類もの香りの成分を扱っていて、それらは全て天然ハーブ由来なんですね。
「ハーブを育てるところから始めると、地域活性や一次産業へのシナジー効果に繋がる素晴らしい事業ができるじゃないか!」という話で、それは凄くいいなと思いました。

さらに、調べてみて初めてわかったのですが、例えば麦や豆、玉ねぎなどの主食作物を作ると、その売上に対して足りない部分は、農家の方に補助金が出るという制度があるのですが、なんとハーブもその対象となる作物のリストに入っていたんです!
原材料のハーブをそこで作れば、農家の方たちも補助金がもらえるわけです。
「これだ!」と思いました。
そこから3ヶ月くらいですかね、毎日のように事業計画の投げ合いをして、30回、40回と構想を書き直して練り上げていきました。

--------その計画を持って今の事業を立ち上げたんですか? >>刈田氏


そうです。それで、北海道に行こう!ということになりました。
最初は当時の会社を北海道に持っていこうという話だったのですが、大手製薬メーカーの社長に相談したら、「最初から始めたら?この会社はお父さんが立ち上げたものだし、一から自分でやってみたら?」と言ってくれて、北海道で新しく一から立ち上げよう!ということになりました。

--------なぜ札幌ではなく、岩見沢を選ばれたのですか? >>刈田氏


広い北海道のどこに行こうかと考えた時に、農業が主産業であることと、市の支援体制が素晴らしいことを選択基準にしました。
それから、もう一つ。土地のイメージやブランドということも大きな要素だと考えていたのですが、それらを基準に評価をしていくと実は岩見沢市が一番点数が高かったのです。

僕は、岩見沢市は行ったこともないし、見たこともありませんでしたので、全く先入観が無く、まずは行ってみようと、足を運びました。
初めて訪問したのが2000年2月。雪がとても多い年でした。
駅に降り立った瞬間に「雪が多すぎて、ここで事業はできないな」と。
もう次のことを考えていて「次は富良野だ!」と思いました(笑)。
1ヶ月間で20箇所ほどの道内市町村を周る予定でしたから、岩見沢はすぐに断ろうと思っていましたが、当時の市長と市の幹部の方々とお会いして、すぐに考えが変わりました。
30分くらい話しただけで、すぐに投資や試験栽培の協力をその場で約束してくれたのです。
お役所の方については、横柄なイメージがあったのですが、「こんな素晴らしい方々もいるんだ!」と感動してしまって。
市長に惚れこんでしまって、その場で岩見沢に起業することを即決しました。
20箇所周る予定だった他の市町村との予定は、すぐに全てキャンセルして岩見沢に決めてしまいました(笑)。

岩見沢を選んだもう一つの大きな理由は、語源です。
岩見沢の語源は「湯浴澤」と書いて「ゆあみさわ」なんです。
北海道を開拓してきた人たちが、ここで湯あみをして疲れを癒したのです。この土地は憩いの場所だったということを知って、非常にいいなと思いました。
当時から、ガチガチの製薬、バイオという固いイメージの会社ではなく、どちらかというともうちょっと柔らかく優しいイメージで、わかりやすい会社や製品にしていきたい、と考えていましたので、この地名はものすごく良いなと思ったのです。

--------思い切った決断ですが、周りからの反対はなかったですか? >>刈田氏


当初は投資家の反対が多かったですよ。
北海道に行くということは納得してくれていたのですが、みんな札幌に行くと思い込んでいましたからね。岩見沢に行くと言った瞬間に、投資の話がいくつかなくなりました。

「舐めてるのか?」「なんで岩見沢なんだ!」と責められ、色々説明したんですけれど、「そんな甘いものじゃない」と。「そんな甘いこと言っていると絶対うまくいかないし、そんなことを考えている経営者とは付き合えない」と言われました。
5社ほどに断られて、予定よりも投資額はショートになってしまったんですが、
その時に「いや、そういう人たちはわかってないよ。僕らは失敗しても成功しても恨まないから、とりあえず全力でやってみなよ。」と言って投資してくれた方々がいました。
未だにその方々は応援してくれています。

--------御社が開発されているDGDS(ドラッグガスデリバリーシステム)について聞かせてください。 >>刈田氏


簡単に申し上げますと香りの成分であるテルペノイドという物質を、肌に接触させるだけで経皮・経粘膜吸収させることを可能にした技術です。
この技術の特許はアメリカやヨーロッパなどで21カ国で取得しています。

ハーバルメディスンという言い方をするんですが、ヨーロッパでは香りが健康に良い影響をもたらすという考え方は定着しています。
日本ではまだその文化がないので、我々は「貼るサプリメント」というPRの仕方をしています。
昨年春に行った現地調査により、ヨーロッパではこれ自体が医薬品の認可がされやすい可能性を感じています。
ですから、しばらくは国内ではサプリメントとして拡販し、海外では基本的に医薬品としての認可やライセンスを目指しています。

ライセンス先としては製薬メーカーや政府機関、それから国連機関です。
今持っている特許はHIVやマラリアなどの感染症、あとは鬱病、肥満に効果のある成分と剤形に関するものです。昨年、スウェーデンにいるハーバルメディスンの権威者である研究者を顧問に迎えて、共に事業を進めています。

--------DGDSを使用した最初の商品は「健康香料」ですね。商品の売上は最初から順調だったのでしょうか? >>刈田氏


最初は大変でした。
当初は、100社行って1社決まらない、という状況でした。
全国を周って、四国以外は全都道府県を営業で周りました。
何もルートが無い中で、全国のドラッグストアーに行き、商品を置いてもらいました。
ただブランドが全く知られてないわけですから、店舗に置くだけではなかなか売れません。
どうやったら売れるのだろうと戦略を色々考えて、自社でマーケティング費をかけることは難しいので、OEM提供を始めたのです。

大手企業だと規格がかなり厳しいのですが、我々の強みは安全性と有効性に対する確かな科学的データを持っているという事です。
安全性データに関してはGLP準拠と言って医薬品とほぼ同等のものを持っています。

それに掛かる費用は会社を立ち上げてから徹底的にコストを掛けました。

そうして、コナミスポーツや大正製薬、宇津救命丸の香りに関わる商品をOEM受託することができました。

その商品を見て、当社にしかない技術を知った各方面からの問い合わせが増えるようになりました。

ここまで来るようになったのも、スタッフと一丸となった賜物でここ最近1年くらいです。一昨年までは大変でしたよ(笑)。





--------では、ブランドもかなり認知されるようになってきたのですね。 >>刈田氏


そうですね。最近では国内でも我々が取り組んでいるハーバルメディスンに関する認知が上がってきています。
日本国内において、ハーバルメディスンに関する相談は、ほとんど弊社に来ると言っていいと思います。
他に専門で取り組んでいる会社なかなかがありませんから。
企業関係者、研究者が多いですが、政府関係の方もホームページから問い合わせて来ます。

現在は、弊社の主任研究員5名と提携企業からの客員研究員1名がそれぞれ今まで外に開示していなかったデータをホームページで開示し、自分たちの分野レポートも載せるようにしました。それからアクセスは100倍以上になりました。

--------それでは今後の戦略を教えてください。 >>刈田氏


今後の戦略としてはOEMを続けていきながら、自社ブランドのパッケージというものをしっかり作っていきたいですね。

その後は、僕らはあくまでも技術に特化していきたいと考えています。
インテルのように、表には出てこなくても、香りに関する様々な商品の弊社の技術が使われている、というような会社にしたい。

そして弊社の技術、製品を140カ国以上に拡げていきたいと考えています。
今、ヘルスケア商品の中で、世界一多く売られている商品が110カ国なんです。
その商品の戦略的な分析を行なったところ、弊社は140カ国はいけるという判断を本気でしています。
HIVやマラリアなどの感染症関係、先進国であれば鬱…。弊社の技術が、治癒に役立つことで世の中は大きく変わるはずです。
どこまでいけるかわかりませんが、今の優秀なスタッフたちとどこまでいけるかというチャレンジはとても楽しいです!

--------ありがとうございます!では、北海道の魅力について、Iターンで北海道に来られた刈田社長から語ってください。 >>刈田氏


北海道に慣れると、東京には帰れないと思います。
僕は新宿育ちで、きれいではない空気や水にも、人混みにも慣れていましたけど、こっちに来てからはその状況にはもう耐えられないですね。
それから、人!北海道の人ってもの凄くオープンな人が多いですから、特にプライベートではお付き合いしやすい、親切な方が多いと思います。

岩見沢は確かに雪が多いですが、四季折々の魅力があるし、全てにおいて僕は好きです。
東京にある弊社のオフィスはJR有楽町駅の前にあるのですが、私が東京に出張している際に、有楽町界隈にいるビジネスマンは僕が3メートルを超える雪の中で生活しているなんて、想像も付かないんだろうな、と。
そんな環境で暮らしている自分にかすかな優越感を感じますね(笑)。

--------最後に、現在フリーターやニートなど社会的に大きな問題になっています。
就職しない、就職できない若者が増えてきています。そういった方たちにメッセージをお願いします。
>>刈田氏


自分が「命を懸けられる、死んでもいい」というような仕事を見つけることができるといいですね。
僕は凄く恵まれていて、今まで自分が好きなことしかやってきていないんですよね。
ごく短い期間にサラリーマンをしていたこともありますが、その時も凄く楽しかった。
諦めないで、自分が「これで死んでも本当に悔いがない!」と言えるくらいの仕事を見つけるべきじゃないでしょうか。
それが見つからないのであれば、今は昔と違って会社の設立に資本金が少額で済むので、起業してもいいと思いますよ。
どんな方法でもいいから、自分が納得のいく、大好きなことをやるのが一番良いと思いますよ!


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★取材を終えて
グローバルな視点で素晴らしいビジョンを持ち事業を行っている、ユーモア溢れる刈田氏。
苦労したことを尋ねると、「苦労は相当していたと思うんですけど、
面白いことにそういう記憶ってどんどん消えていっちゃうんだよね。」と笑った。
「例えば、資金繰り一つとっても、恐らく10回以上は次の月が無いということも
あったはずなんだけど(笑)。それよりも新しくやりたい事業とか、
魅力的な企業、魅力的な人々がどんどん現れてくるから。」と。

凄く運が良く、周りの人に凄く恵まれていると話す刈田氏の周りには大変優秀な
人材が集まっている。
でもそれは決して「運」ではなく、刈田氏自身がとても優秀で、魅力的だからこそ、
同じように優秀な魅力的な人が集まるのだろうと感じた。

今後の挑戦によってハーブ揮発成分の機能性が認知されると、
日本中だけでなく世界の医薬市場にも多大なインパクトをもたらすだろう。
岩見沢から世界が変わる姿をぜひ見たい。

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★関連ウェブサイト

・ネイチャーテクノロジー株式会社
http://www.nature-technology.com/

・アロマシューティカル通販サイト
http://www.aromaceuticals.info/

・健康香料
http://www.kenko-koryo.com/html/index.html

・メタボオイル
http://www.metabo-slim.jp/


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